不幸の世代間連鎖を断ち切る
親に虐待を受けた人が
親になったとき
子どもを虐待してしまう。
とよく言われます。
でも、その割合は約3割だそうです。
つまり、親から虐待を受けていても
その7割は、子どもには虐待をしないのです。
では、親に虐待を受けたのに、
子どもに虐待をしてしまう人と
しない人とで何が違うのでしょうか?
◆親を憎めた人は虐待しない◆
親に虐待を受けていた相談者さんに
カウンセリングをさせていただいたことがあります。
彼女は二人のお子さんを立派に育てあげました。
二人とも
自分達の人生に満足し挑戦もしているし
母親の誕生日には必ずプレゼントをくれ、パーティーをしてくれるそうです。
私は彼女に尋ねました。
「なぜ、あなたは、親から虐待を受けていたにも関わらず、
こんなに良い子育てができたのですか?」
彼女は答えてくれました。
「母にされた嫌なことを子どもたちにしない。
母にしてほしかったことを子どもたちにする。
つまり、ただ母とは真逆のことをしてきただけです」
自分は親から虐待を受けていた。
と自覚して、親を憎んでいる人は、
子どもを虐待することはない
のだそうです。
親を反面教師にできるからです。
それに対して
◆虐待を受けていた自覚がない人は
子どもに虐待をしてしまう。
のだそうです。
子どもは親にしてもらったことを
すべて愛だと思って受け取ります。
たとえそれが虐待行為であってもです。
ですから、我が子に対しても
愛情の表現のひとつだとして虐待をしてしまうのです。
◆「親を許せない」
とカウンセリングを受けにいらっしゃる方がいます。
そういう方に、多くのカウンセラーは、
「どこの世界に、子どものことを憎いと思う親がいますか!」
と説教したり
「ほんとうは、愛されているんですよ」
と無理やり思わせようとしたりします。
そういったカウンセリングは
害になりかねません。
◆「親を許せない」と言う人には、
まずは徹底的に親を憎んでもらうのです。
それが、
親と同じことは決してしない!
親のようには決してならない!
という誓いに結びつきます。
その誓いによって、
世代間連鎖を止めることができるのです。
そして。
そうやって、
親を憎みきることができると、
親の弱さが分かってきます。
それが許しへとつながっていくのです。
許す前に憎むことが必要なのです。