1980年・9月…赤信号の渡り方〜とんちゃんのせんせいは素敵!〜
『とんちゃーん!』
『んー?』
『わたしね、やっぱり生徒会広報誌の編集人、やることになってしもうたわ…。』
『あ、みのむしの詩の?。ふぅん、そうか〜。
その気になったんやったら、なんからでも、やってみたらええわ。
なんかさ〜、いうたらなんやけど2年になってからこっち、アンタずっとなんだか、ムスーッとしてたからさ…。
(わあ、とんちゃん。知ってたんか。かなわんなぁ〜!)
あそこは、文系も理系も運動部も文化部もいろんなひと入り交じって出入りするから面白いよ―。
自分勝手なんも居るけどね―、まあ、それは何処へ行ってもいっしょよ。
…あ、でも例の M脇くんが居ったわね―、大丈夫ー?かなり 気に入られてたみたいやけど、その後どう?』
『う。言わんといて、その名前。』
『悪い子ではないんやけどなぁ。なにせ、あのこは理系の
しかも男組の子
(男組=クラス全員が男子、男子、男子のみ。われわれ文系女子はなんか視線が合うと怖い〜だの、男くさいからヤダ〜!だのと言っては、男組の前の廊下を通るのを極力さけていたものである!)
やろう?。
理学部でも、実験ば―っかりしててなぁ、いままで女の子なんて見てなかったというか、なんというか、つまり慣れてないだけなんよー。
うーん、ひととの距離がいまいちわかってないていうのかなぁ…。』
『大丈夫、大丈夫。絶対巻き込まれんように、わたし、態度ではっきりさせとくから。』
『いや〜。あんまり厳しい態度もね〜。いっしょに仕事するんでしょ?だったらその場の空気っていうの、大事やしね〜!』
『…とんちゃん、甘いわ〜!』
『そんなこというても周囲の皆にも気ぃ使わせるやんか。M脇くんもなぁ、悪い子ではないんやけどなぁ〜。』
…いーや、あのあたり構わずまきちらす
『わーい、あの子やあの子や』光線
は、まるで小・中学生並ーッ。未経験にも、ほどがある。わたしで今回学習しといたらええんです。
だからばっさり、いくもんね。
『それより、とんちゃん…』
『あ、ごめん。わたし当番やったんやわ。また後でな〜。』
んー。残念。
生徒会室に行く前に、もう一回聞きたかったのにな、あの信号の渡り方の授業のはなし。
でも、大丈夫。とんちゃんのあの話 は耳の中にちゃんと残ってる…。