とんちゃんの先生の話

とんちやんの先生のことば…それは、彼女がわたしの中学に転校して来る前の小学校のときの話で。
文系クラスの修学旅行についてのアンケートかなにかを集めながら、それこそ、なんの気なしにふと彼女がわたしに話してくれたことだった。

『…先生といえばさ〜、わたしの小学校のときの先生なぁ、ちょっと他の先生と違うかったんよ。

ほんまに面白いんよ?
…例えばやね、
かっちゃんは信号のこと、どんなふうに教えてもろた?』

『小学校んとき?…』

『うん』

『えー。信号は青が渡れで、黄色は注意。赤は止まれの決まりです、絶対渡っちゃいけません、かなぁ。』

『…やろ?普通のせんせはそう言うやろ?ところが、わたしのせんせいうたら、こうなんよ。

さて、みんな。
信号が青は渡れで黄色は注意、赤は止まれの合図なことは、もう
大抵みんなも知ってることやろう。
ところがやな、
信号は赤やけど、
それでもこの横断歩道を渡りたい…!いますぐ渡りたい〜!

そういうときは、いいか?。

自分の責任だと 思って渡りなさい。

(それは、車なんか来てないと思うてても、車にひかれて大けがして 最悪もう お母さんや先生やお友達にあえなくなってしまうかもしれない。それでも いいと思うなら渡れってこと…だよね?)

渡りたかったら自分の責任で渡れ〜!。わかったな!!』

…な?こなんいわれたらもうちょっと、ま、このくらいいいかぁでは渡られへんよ。

わたしはな、小学生の時、そんなふうに教えてもろうたん…。
なんか、ええやろ?』

『う―ん。ええなあ。なんか、ええなあ。』


その先生、どんな顔したひとだろか。
赤信号 皆んなで渡れば 怖くない、なんて言葉、ぺらぺらかすんじゃう。