「どこ風…」ブログ記事と結合→わたしを助けてくれたひと…略…?+?通学電車と岡林せんせ…編

男子だけれど通学電車仲間ができて…。

気が付いたらさすがに痴漢にももうめったに合わなくなってた…。

いま思うと、あれって。例の
わたしが幼少のころに通りすがりの占い師に宣言されて、ずっとわたしの母が怖がり、気にして気味悪がっていた、

「色難の相」ってやつのせいなんかじゃなくて、、わたしが自分の学生生活に目標も希望もなくしていつも、ぼ〜んやりしてしまってて…気持ち的にも身体的にも、スキだらけになっていたせい……だったんじゃないだろうか?

たぶんそれが正解だ。

自分なんて、どうでもいいと思ってた。

まわりのひとだれにとっても、わたしのことなんて、ほんとにどうでもよかったんだ、だってカスだもの…って思って…。

ただ
電車の窓のそと
流れてゆく景色を
わたしは、ぼんやり見ていたんだもの…。

ね?痴漢にねらわれ放題だ。ネギをしょってるカモだったんだよ。

わたしは考える。

「ばかな子どもの
つまらない小学生の夢」だと

母は笑って言い放ってた。

あのとき。
あの夏休み。

母の大好きないとこから
ひさしぶりの電話がきて…、母は
夢中でもうそれは明るい声で楽しそうに
ほんとに楽しそうに話していたんだ。

…岡林せんせい。

果てしなく不器用で
苦手なことは
ひどくのみこみが悪くて

お母さんが
もう、お店の仕事が忙しいのに、面倒みきれないわ勝手にしなさいっといって、

勉強をみるの放り出しかけてた…わたしを、

小学校で担任してたお姉ちゃんにしょっちゅうくっついきてた妹…でしかなかったわたしを、

ご自分は他の小学校に転勤なさってしまっていたというのに、

この子は、目をはなしたら何もせん子や、ほおっといたらいかん子やから、とおっしゃって、

そんなわたしを
可愛がって、何十枚も何百枚も、文字をかかせてくださった岡林せんせ。

「こっらぁ〜、

だあれがそんなふうに、ちんまぁにちぢかんだ文字を書けというたじゃろか。

もっと、も〜っと大きくかきなさい。

いかん、いかんいかん。
もーっと大きく!

ぐんぐんと!
そうじゃ、お空に書きなぐるつもりで書く!

お、そら、できた。
〇〇ちゃん、できた、
書けたじゃないの。

そうそう、それそれ。
いまのを忘れんと、

忘れんうちに
も一枚書いとこう!

ほらほら、
べそべそ泣き虫さんや。

あんたはな
えらい子なんやで。

お空にもじを書くっちゅう
そういう気持ちが
わかるんやからな。

あんたの文字のかきかたは、それじゃ、

これからは
全部それでゆこう!」

…そういってお習字や絵を描かせてくださった
岡林せんせ…。

なのにガンに…なってしまった…岡林せんせ…。


お姉ちゃんが薬学の道に進みたかったのも
きっと岡林せんせのことがあったから…。

せんせと病室で約束をしたんだ、獣医になるって。

中学の英語のIくんのクラスを教えていた、すっごく新しいタイプのおんな先生…ギターをひいて授業中に英語の歌を歌わせてくれていた…、とも約束をしてた。


いつか、野良猫、野良犬保護の会をつくろう〜。
資金はわたしと同志の友人たちがなんとかするわ、
〇〇さんゎ、ぜひ無料の顧問の獣医さんとして参加してちょうだい!獣医さんになったら…かならず連絡ちょうだいね、待ってるわよ!」

大人ではじめてわたしの夢を本気にして聞いてくれたひと…バカな夢だと笑わなかったひと…

わたし、わたし、犬や猫のシュバイツァー博士になりたいんです。

アフリカのひとたちに
ああ、これはね、塗り薬なんだよ、飲んじゃだめだよって…言葉のうまく通じないひとたちに
何度も何度もあきらめず
根気よくいろんなことを伝えて教えて、オルガンをひいていたシュバイツァー博士。

奴隷市場で見た光景に
悲しくて悲しくて
自分が白人なのが
恥ずかしくて
つらくてたまらなくなった…だから白人としての暮らしを捨てたのだという…

優しくてがまん強くて賢いシュバイツァー博士!。

…そんなことは
父も母も知らなかった。

(だってわたし。そんなこと、ふたりから聞かれたことなんて…本当に一度もなかった…んだよ。

そしていつも忙しいから

決してわたしから
話しかけてはいけなかったの。

うっかり話しかけたりしたら、うるさい、あっちにいけと叱られて。情けないおもいをすることになる。

…だから
質問したいこと質問しても、誰にもうるさい、とも
あっちに行けとも
いわれない。

わたしにとって
「学校」はもう大好きな、夢のような場所だった!

父にいたっては、本当になぜだか死ぬまでそうだったという気がする。

〇〇〇、お前はほんとうは、どうしたいんや?なにを考えとる?…う〜ん、
あらためて記憶をさらってみたんだけれど、
いいや、やっぱり、記憶にない。

父と母の声の記憶は
命令文と悲鳴に近い非難文だ。

「〇〇しとけ。〇〇しとれ、わかったか。」

「なんやうるさい、だまっとれ!」

「〇〇ちゃん、それなにしょるの、そんなことしたら困るでしょう。

前にもゆうたでしょ。
〇〇〇しときなさい。

〇〇〇、
また、あんたなの?

あんた、また、
それなにしょうるの!

もう
わけのわからんことばっかりしでかして!

ピアノの練習は?
ドリルは済んだの?

本ばっかり読んで
この服の吊し方は何?!
髪の毛ちゃんとときなさい!

靴下…、それ、右と左の高さがちがうやないの…もっとしゃんとあげなさいっていつもゆうてるのに、ほんとにだらしのない!

あ〜、もうほんとに
あんたとおったら
イライラしてキチ〇イになりそうやわ。」

しか、わたしの耳は覚えていない。こりゃ、たぶん、

ほんとに
一度も聞かれたことないや!)

けれど、そんな訳もあって、大事にしていた目的を…

すかぁんとなくしてしまって、なんだか気持ちも頭の中もふらふらしてたから…、

自分なんてどうでもよくなってて身体じゅうスキだらけだったんだろう…

…そのせいで痴漢に狙われ放題だったんじゃないかと…わたしは思うんだ。

だんだんとギュウギュウづめになってゆく通勤通学電車の中、

いま身に付けている腕時計のメーカーとデザインの話。

いくつかの候補の傾向、

で、それらの候補の中から、なぜそれを選んだか…。

決定的な決め手はなんだった?だの

靴とか鞄って本当にいろんなのがあるよね〜。
だの。

あ、あそこにまた美っ人〜なお姉さんがおるなぁ!目の保養や〜!

え?どこどこ?今日のは
どんな美人さんっ?!

そりゃあもう、ここに
…痴漢さんの出る幕はまずありませんとも。

友達ができるって。
やっぱりすっご〜い!

…そんなある日のことだった。

自分の家はこんな家、うちの家族はこんなだと

なんだか
お互いに、披露しあっていた…のかな。

わたしの耳は、
覚えているの。

m本くんの声、

あれ?
なんだか珍しくいつもみたいに声がキンキンしてない。

あ、なんだ…なんか照れてるんだな?って感じで彼が話をしていたの。


『…そんでさぁ、そのうちの遠い親戚のおっさんがな、
なんてゆうたらええんかな…、まあ、いわゆる酒で身を持ち崩してしもうたっちゅうやつなんやろうなぁ。

身体も気持ちも頭も、な〜んかヤバいことになっていってしまいそうになってたんや…。

親戚じゅう誰れもが迷惑がって、
「いつそもう、どっか知らんとこへでも、いってしもてくれたらええのに〜」とか……なんかそんなことまで言い出してさ…。

そしたらな、俺のおとんがひとりでな、

「そんなアホなことがあるか!そんな不人情なことがなんで出来るんじゃぁ!」…っちゅうてな、

ムチャクチャ怒って暴れてさ、そいでひとりでそのおっさんを引き取ってきたんや。

そのおっさんがさ、そのおっさんは後で結局は亡くなってしもたんじゃけど…、

そのおっさんのこと、ほんまに、亡くなるまで面倒ちゃあんとみて見送ったんじゃ。

俺な、俺のおとん、尊敬しとる。

あの時からおとんの息子に生まれてきて、ホントに良かったって…思っとる。

うちのおとんこそは、最高の男じゃって思うとるんじゃ。

俺はな〜、こう見えてもなあ〜、

稀代の不良と深窓の姫君の間に生まれた、幸運と愛と幸せの結晶なんじゃ〜!』

聞いていたわたしの…
m本くんからは見えないはずの左の目から

何かがポロッと落ちた気配がした。

左の頬がなんだか…なんだかひどく熱い気が…する。

えっ…なに?
なにが、起きてるの?

(…次につづく)