渡りに舟とは、このことか?

う〜ん、どうしたもんかなぁ〜。いくらなんでも、みんなの前でだけ、ペアですみたいなフリしてくれる…そんな物好き、暇人が…居るわけないよな、この時期に。みんな勉強に部活にホントの恋に、忙しいんだもの〜!

『おい、こら。』

『わ、びっくりした。な、なに?』

『さっきから、ず〜っと呼んどったが。

おい、お前な。
ちょっとええか?

いま…Kとな。お前、妙〜なことになっとらんか?』

『……なっとるもなにも、ええ、なっとりますよ。 もう、バカバカしくって、腹たってます!』

『ほ〜ぅ、そりゃまた意外な展開やな。』

『なにが〜?!』

『いや、お、これはこいつらすんなりペアになるかな〜という気がしてたんでな。

…にしては、なぁんかお前、冴えん顔つきしとるなぁとも思ったもんで。

そうか〜。断固、お断りか〜。

まあ、アイツもなんかちょ〜っと、ここんとこ変にヒートアップしすぎとる感じするからな〜。』

《声にならない頭の中↓↓↓》

…〇〇さんの次は△△さんで、その次は□□さんで、

つい先々週くらいまでは 藤紫の君が好きで好きで、

だからこそ、わたしは、k君の恋ごころの…なにか良い参考になればとか思って…、お姉ちゃんの本棚から、新潮文庫赤毛のアンシリーズを、バレて怒られないように、一冊ずつ内緒で貸してきたりしてたんじゃないか〜。

それなのに、それなのに。どうも、思いは届かない。

そしたら、あら近くに、もっと手頃な奴がいたではないか、

…で、なぜわたしなんかをチョイスするの…?!

『……藤紫の君とCちゃんに、ひと言あやまれ。まったくあの…ひとり純情バカひつじ〜!』

『おいおい。そう怒るなよ…で、どうするつもりなんや、具体的には。』

『…つまるところは、それなんだよね〜。』

『お前なあ。Kだけでないぞ〜。お前〜、気付いとるかどうか知らんけどやな、

いま、結構ややこし〜いことに…』

『わかってるよ。わかってます。

でも、わたしのせい〜?じゃないよね〜?、絶対ちがう!

なのに、なぁんか、あっちこっちで、妙なことに、なっててさ…。』

『ほうほう。御苦労さん。』

『他人事だと思って…。いや、解決策になりそうな案あるにはあるんだ。

だけどね、やってみるには、役者が足らないの。もうひとりどうしても必要なのよ。

待てよ…。
そうだ、m本君。

確かこないだ…あなた…言ってたよね。

女子のデートごっこに付き合わされるのには、もう飽きた。

オレの人生のパートナーにと思うような
絶世の美女に出逢うまでは、遊びは封印、もう一切おことわりじゃあ〜って。

あれ、本気?』

『おう、まぁな〜。』

『だったら…、頼まれてくれないかなぁ。ニセ…の見せかけだけの…K君やみんなの前だけの、ペア、わたしと組まない?。』

『………?!。』