ピカピカピカーン!

ピカピカピカピカ。
ちょっと目を見開いて、絶句しているm本くんをば、放っといて。

わたしの頭は 久々に動いていた。

いつもの学校への行き帰り。
みんなと歩く時の距離。

その中で、おんなじ路線、おんなじ時刻の電車に乗るS籐さんとわたしとm本くん。

あと、ほんの15センチくらい、素知らぬ顔して
わたしがm本くんに今までより近づいて話して歩けば…いいだけなんだ。

ホントにただそれだけで、何だかちょうど良い高低差。この背格好の私達なら、よそ目には充分ペアに見えちゃうはずだ…!。

k君には、
『あなたには悪いけど、m本くんと付き合うことにしたから!』って言う。

それでcちゃんへの義理もたつし、藤紫 の君にも、ひどいや!なんて…思わずに済む。

ただ、みんなの前でだけ、あと15センチm本くんの近くに寄って歩くだけ…!
あとはまったく、いつも通りで、構わないんだよ。

こりゃまた、なぁんてローリスク、ハイリターン!

『おい、こら…ちょ〜っと待て。

それで、お前はええだろう。 おれの取りあえず彼女だという振りをしながらだ。
お前の周りの、kの奴やら、なんだかんだを整理して、これ以上ややこしくならないように…するわけだ。理屈とねらいはわかったし、たぶん効果もあるだろう。

…だが、しかしだぜ。
そんなお前に、手を貸してだな〜。オレには何の得がある…?』

『m本くん、前に言ってたよね。

女子の考えてることは、サッパリわからん。デートでニコニコ隣りにすわって、映画見てても、ケーキ食べてても、ホントの気持ちや考えてることは、結局サッパリわかりまへんわ〜って。

ニセものの、ペアのふりしてもらうかわりに、わたし、いろんな場面で『口先では、みんな…ってこんな時言うやろけど、本音では、こう思ってるみたいだよ』って、自分や他の女の子から聞いた本音の話、話してあげれる。

そしたらさ。

m本くんが、将来絶対ゲットしたいと思ってる、『絶世の美女』に会った時…m本くんには、絶対有利よ!

…そんなこと、ない?』

『いや、いやいや、ちょ〜っと待て。お前そんなこと、考えとるんか…?。

お前な、お前はいったい…。お前んとこ、いったいなんの家業しとる家なんや?!』
『…え?わたしのうちの家業…?

え〜と、わたしの家はつまりは商家よ。 おもに青果…野菜やら果物そのほかの食物・雑貨を売ってるわ。 それとは別口で着物や小物を扱ってたりもする家だけど…?』

『あ〜、なんやそれでかぁ。なぁんかそれで全部、解せたぞ。
お前、
商売人の家のムスメやったんか〜!
どおりで、なぁんか今まで知っとるヤツとは違う毛色の人種っちゅう気がしたわけですわ。

面白い!この話、乗ったるわ。

ただし…じゃ。このオレが乗ってやるからには…

お前も、ちゃあんとつじつま合わせる覚悟しとけよ〜?』
『うん、ちゃんとやるつもりよ。

だって、それって結局自分のためだし、わたしの…ワガママなのかもしれんけど、
K君や、他のみんながこれ以上わたしなんかのことで

あ〜だこ〜だと、ややこしなるのは…いやなんだもの。これって、大事なことだと思うんだ。』

『そうか。わかった。ほな作戦タイムといきますか。』

あ〜だ、こ〜だと情報交換。ルパン三世ごっこもどきに、協力者あらわる。

…ただし、ここでも
私個人の『お父さんのお金使って、お母さんの希望の大学なんか行かない!』作戦については、m本くんにも、一切話さ ず…。

そして、なんとも不思議なことに

わたしは、後に、彼の奥さんになるひと(それはもう、誰れもがすれ違えば振り返る見事な女性でした…!)と あるひ夢の中で会ったの。

そして

『いまは、あなたにも事情があるのは、わかっています。

だけれど、あのひとは、わたしの大事なひとだから、

ちゃんと時がきたら、わたしに、返してくださいね?。』

と、言われたの。

『は〜い、わかりました。絶対、ウソ恋からホントの恋にはならないように気をつけます。

あなたの大事なひとをお借りしちゃってゴメンナサイ!

ちゃんと無事に、お返しするから待っててね!』

と答えて目が覚めた。

後にわたしは、あるお正月にm本くんと奥様が初めて道ですれ違ったときの、

あのm本くんの直立不動の緊張と硬直ぶりを…拝見することに…なるのです。

あの日の腰まで届くほどの美しい髪。彼女はまさしく

あの夢の中でみた
彼女でしたよ。