z.結婚すると、決めたわけ

まったく。
長女が小学校に上がった年に、無くしてしまった記憶の実感の数々。

中でも、
どうして自分がシスターにならずに
寄りにもよって、あの「わたしよりもヘンテコでわたしよりコドモみたいなm脇くん」と結婚して

絶対、絶対なるのはお断りだ。あんまりにも無責任だし、危険過ぎる…って思ってたはずの「お母さん」にまで なっちゃってるのかが

どうしても自分では腑に落ちない。納得出来なかったんだ。
だから、精神薬の後遺症や副作用に悩まされながら。身体の重さと闘いながら、お母さんを奥さんをやり…2人の女の子を育てながら。

自分のグチャグチャなままの日記にノートの記録をとにかく少しずつ…並べてみたんだよ。

ホントにね。

あのkくんの結婚式とその二次会のテープさえ、なかったら。

確かにわたしは結婚なんてしでかしてはいないよね。

そしたらわたし、どこでなにしてただろう…。

シスターになって、案外元気にやってたんじゃないかとは、思うな。

でも、まずはシスターになる前に、
どうにかしてマザー・テレサのしていらしたこと…本や雑誌に書いてた通りなのかどうか、直に見なくちゃやっぱりわかんないからさ。

どうにかして、自分の目で見て確かめて来ようとは、しただろうな…って思うんだ。

まったく!
まったく!
まったく!

あのテープだよ。

わたしはね。
途中までニコニコ笑って聞いていたんだ。

kくんへの大学の友達からのお祝いメッセージ。

AYUMIさんのお友達からの歌とメッセージ。

お〜、m下先輩のスピーチだ。そうですか、7歳年下の奥さんゲットしたkくんには脱帽、負けましたですか〜。

いいな〜。誰れに教えられたワザと感覚なんだか。m下先輩の話しかたってのは、ひねりも皮肉もかなり入ってるのに、なんか嫌みがないよね〜。

言葉が丁度いいくらいに、あたたかくて面白くてひとをそらさないんだ。

ひとに聞かせる…なんかコツってものがあるんだと思うよ。それが、なんというかちゃあんと身についちゃってるって気がするよね〜。

ワイワイ、ワイワイ 。二次会で。

m脇くんは、みんなにからかわれてた。
「お前、さっきからゴゾゴゾ何しよるんじゃ?

テープ?〇〇に〜?
お、お前まさか、まぁだ〇〇のこと…。
アホちゃうか、お前。いい加減にせ〜よ〜。」
「いやいやいや。オレの奥さんがいうには、だな〜。

押してだめなら引いてみろと…。 」

ワイワイ
ワイワイ。

ああ、みんな元気でね〜。お仕事、家庭、素敵なパートナー、見つけてしあわせに、しあわせになってね〜!

ニコニコ、ニコニコわたしも、それでしあわせ
…だったのに。


最後の最後で
あの「かつべぇ」が
もうその頃には、めったに出たりしなかった「かつべぇ」が


半眼になって出現しちゃったんだ。

ん?…お〜い。ちょっと待て。なんやて?いま、なにゆうた、
M下HIDESHI〜。

いま…貴様なに、ゆうた?!

いわく
良い機会だから、この際、「経験しておけ、M脇」…?

M脇もk畠も
どっちも
ひとに寄っかかるのが好きなヤツ同士やから丁度ええ?

寄っかかりあわしといたらええが…だって?

かつべぇ、半眼。

おい、
KEIICHI・M脇
あんたも、あんたじゃ。なんで怒りもせんとヘラヘラヘラヘラ、くすぐったそうに笑って、
いっちょ前扱いふうの相手してもろて、エへへって喜んどる場合か、このどアホ〜!

怒らんかい!

あんたやわたしが
子ども時代に
間やめぐり会わせが悪くって

誰にも抱いてもらえずに、ひとりでガマンして震えてたとき

あいつらはな、
ぬくぬく誰かの背にもたれたり
抱っこされて眠ってたに違いないんだよ。

体格も見た目もよくて
あれもこれももっている。
だから、私達より、すっかり先に大人みたいになれてるけれど、

それだけの差なんだよ。

調子にのんなよ、バカやろ〜!

甘えまい、
寄っかかるまい
寄っかかるまいと
して

ひとりで

わたしがどれだけ血反吐はいて
笑ってきたか、

M脇がひとりで
どんなに冷や汗かいてトンチンカンに困ってきたか

あんたらホントは
知らないくせに?


kくんも、大きなお世話なんです。
M脇んちもわたしん
ちも、すっからかんなの、貧乏人なの。
わたしのことも、M脇のことも、なんの事情も知らへんくせして、

相も変わらずしあわせなひと。

無神経で無責任なやつ〜。


みなして
みなして

この、苦労知らずのボンボンばかり。
しあわせな、お坊っちゃんたち〜!

そんな調子じゃいつかあんたら
痛い目みるわ。転けまっせ。

困った、困ったあにさん達だな。


そん時、わたし…どうしよう?知らんところで。どうしよう?

神さま、わたし全部捨てるから

どこでも
あなたが決めたとこ
連れていってといったけど。

生徒会室、捨てられません。
大好きな心配なみんな、置いてけません。

ごめんなさい。
わたしの決心ウソでした。


アフリカより
インドより

大好きな心配なのは、みんな。

困った、賢い、しあわせな。
わたしの大好きで…心配な、


日本の男の子たち、アンポンタン。

全員、丸ごと
全員、心配〜!

シスターなんかしとる場合か。

でもって
全員自分の言うたこと、


もう返らへん。
言うたとおりに、なりまっせ。
全員ひっくり返したるっ。

という……わけだったようでしてね。

だからね、
M脇くん、
あなたが主張しとった

「君はさあ、M下に相手にされなくてさぁ、失望のあまり、やけっぱちで、僕と結婚したんだよね?」

…とは、もうなんというかね。

全然、全然違う事態なんじゃないかと

わたしは思うよ〜?。