その背中、蹴っ飛ばしたる 跳び蹴りじゃ〜!… の反対側。

cat-work2302016-07-29

まったく!
まったく!
まったく〜!

KEIICHI・M脇。ことばが足らん。

なんでみんなに、言うたらん?

『オレかて、皆が言うみたいに、11年も、いじいじタダ肘鉄くらっとったわけじゃないわい。

もうキレイサッパリ諦めようって考えたことやってある。

もう、一切あんなややこしいヘンな男みたいな女。

オレのこと

「ハイハイ、ハイハイ。もう、あっちいってて。後輩のN川くんやS々木くんに遊んでもろて、あっちで大人しくしててね。」

とかゆうて、小学生扱いするヤツのことなんて、考えまい。
一切一切、もう知ら〜ん!

ところが、そんな時に限って、うっかり帰省して飲み会にでた高松の丸亀町。

北からのオレの連れの一団と
南からアイツとアイツの会社の同僚のひとかたまりが、すれ違い。

「わあ、宮さんだぁ〜、なにしてんのよ、こんなとこで〜。
あ、わたし行かなきゃ、元気で、またね〜!」

クソ〜、なんちゅうバッドタイミング。

あんな…笑う顔みたら。
あんなふうに手を振られてしもたら

もう…忘れたり、諦めたりや出来んやないか。
クソ〜
神さんのアホ〜!

F市のオレ向きな化学会社に就職をして
あれこれこなしての
独身寮暮らし。

大学時代に借りてた2つの奨学金返しながらの三年目。

お前らは知らんとおるけどな、

去年にもう、オレは押し掛けとるんじゃ。アイツんち。

ためたウン百ウン十万の預金通帳広げて
見せて「オレと、結婚してくれん?」

…ものすご怒られてしもた。

『僕は、君が好きです』…そんなのは、ようわかっとる。

ただのえらい物好きの、大きな病気で若気のいたり、気の迷いだから、やめなさい。

それから、こういうやり方はね。結婚をお金で買うようなもんやから、やめなさい。

わたしの気持ちと身体と人生の値段
たったのウン万円ですか?

おことわりったら
おことわり!

わたし、誰とも結婚なんかしたくないの。来年の父の三回忌が終わったら、

シスターになろうと思っています。

お金もコネも知識も語学力もないけれど、
聖書と賛美歌が好きなのよ。イエスとマザー、気になるの。

大きらいな自分の家を飛び出して
外国に行って、日本の外を見てみる夢も、もしかしたらば、叶うかもなの。

ではさようなら。

どこかの誰か、かわいい賢い優しいひとを、どうにか見つけて

優しくされて…しあわせに…

ならんやろうな。
その調子では。

もう、どっかで勉強やら実験やらに邁進して、まわりのみんなに心配されたり不思議がられながら生きとりなさいね、

宮さんなりに。

ほな、さいなら!』

…なんて言われたなんて。

…言えんかぁ。
まあ〜、言えんわな〜。

そやけど

言うてやったら良かったのに。

そして、そのウン万円全部。すえの妹のみえちゃんが大学に受かって…大学進学が出来そうなのに、実家のお父さんお母さんにお金の余ゆうはまだ、なかったから。

1円残らず全部あげてしまい…

わたしに
『こうこういう経緯です。あのお金はなくなったから、

ごめん。
あの申し込みは 無かったことにしてください』って言いにきて。

そこで、やっと
『M脇くん、えらい〜。すごい〜。
わたしにも、こんな兄ちゃん欲しかったわぁ!元気でね!』
…って。じつは、オレ知らんかったんやけど。

もう、アカン。ホントにあきらめようって考えた。

その時にこそ
じつは、オレ。

オレ自身は全然知らなかった。
そんなことやとは思いもよらなかったんやけど…。

かなり見直してもらってたんだってこともね…。

きっとみんなは

お前、アホ〜!
アホやけど、お前ええヤツやな。じつは、どえらいヤツやったんやな〜、ようやるな〜って言って

きっと
感心してその後もいろいろ親身になってくれたと
思うんだけど、な〜?。