売り物に、ならない商品 払い下げ。

わたしはわたしの家の『作品』で『商品』だったの。

もう、あれは失敗作でしょ?

あれじゃ売り物にならないでしょ?
あれもこれもさせてきた。

あれもこれもとくっつけて、

とてもこのままではダメだ。叱咤激励、叩いて脅してつねって、育ってみたけれど、

高値なんかじゃ、絶対売れないわ。どこにもお出しは出来ないわ。

ああ、困ったわ、どうしましょ?ってお母さんに思われている『商品』だったの。

売れない『商品』はね、
付録をつけて『払い下げ』するのが筋なんだよ。

物好きなひとが横からあらわれて、欲しいからくれといわれりゃ、

『あら〜、助かったわ。もらってくださるの?本当に?

まぁ、まぁ、まぁ。信じられない。

ホントに
ありがとうございます〜!』って、

わたしは、
無事に。

M脇くんに渡されました。

M脇くんがね、
本当は結婚を申し込みたいと思ってるひとがいたってのに

自分の預金の有り金全部、妹のみえちゃんに上げちゃったのを知った、

M脇くんの母方のおじいちゃんとおばあちゃんがね、

自分達の預金、使っておくれって渡してくれて。
結納金は百万円。うちからのお返し半額で。

わたしは無事に渡されました。
1992.5.10。

この時代の…ここ日本で
『結婚』というものをしてみるって決めて。

わたしの母と姉と甥っ子のターちゃんにヒデちゃんに、マーちゃん。M脇くんのご家族皆と春日の家で
きれいなツーピースとスーツ着こんで人前式をして

無事に戸籍をいれました…。


だけど
わたしはその時あなたに

お願いをしたんだよね?。

ひとつだけわたしと、約束してくださいって。

今日から一所懸命にやっては、みます。そのつもりです。

だけどね。お願い。

これからたとえ3ヶ月先だろうと、30年先だろうと。

わたしとわたしの一族に関わるってことが

あなた自身の幸せや
あなたの大事な家族の毎日や未来の幸せの

役にはたたないああ、ただ害になるだけなのだということが。
もしも、見えたときには…その時は。

わかったときには…。

かならずね、
世間が周りがなんといおうとね。
どうかお願い、約束してね。

わたしを離縁してください。